訪問介護労働者の移動時間等の取扱いについて(周知徹底)

 厚生労働省では、いまだに訪問介護労働者の移動時間や待機時間を一律に労働時間として取り扱っていない事業者の存在が指摘されていることから、今般、訪問介護労働者の法定労働条件の遵守にあたって特に徹底を図るべき事項について、下記のとおり取りまとめています。

訪問介護労働者の移動時間等の取扱いについて(周知徹底)より抜粋

1 労働基準法上の取扱い
 労働基準法上の取扱いについては、平成16 年8月27 日付け基発0827001 号「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」(別添2)により示されているが、特に徹底すべき事項は以下のとおりであること。
⑴ 移動時間及び待機時間
 移動時間とは、事業場、集合場所、利用者宅の相互間を移動する時間をいい、この移動時間については、使用者が、業務に従事するために必要な移動を命じ、当該時間の自由利用が労働者に保障されていないと認められる場合には、労働時間に該当する
 例えば、訪問介護の業務に従事するため、事業場から利用者宅への移動に要した時間や一の利用者宅から次の利用者宅への移動時間であって、その時間が通常の移動に要する時間程度である場合には労働時間に該当する。
 待機時間については、使用者が急な需要等に対応するため事業場等において待機を命じ、当該時間の自由利用が労働者に保障されていないと認められる場合には、労働時間に該当する
移動時間や待機時間が労働時間に該当する場合には、事業主はこれらを適正に把握、管理するとともに、当該時間に対して、賃金を支払う必要がある。(労働安全衛生法第66 条の8の3、最低賃金法第4条)
⑵ 休業手当
 労働日及びその勤務時間帯が、勤務表により訪問介護労働者に示され、特定された後、労働者が労働の用意をなしているにもかかわらず休業させ、これが使用者の責に帰すべき事由によるものである場合には、事業主は休業手当としてその平均賃金の100分の60 以上の手当を支払わなければならない。(労働基準法第26 条)
 利用者からの利用申込みの撤回、利用時間帯の変更を理由として労働者を休業させる場合には、例えば、他の利用者宅での勤務の可能性など当該労働者に代替業務を行わせる可能性等を十分に検討し、最善の努力を尽くしたと認められない場合には、事業主の責に帰すべき事由があるものとして休業手当の支払が必要となる。
⑶ 賃金額の変更に係る留意点
 労働者の賃金額を変更する場合は、当該労働者本人の合意を得る必要があり、合意のないものは無効となる。(労働契約法第3条)


2 介護報酬における取扱い
 事業主にサービスの対価として支払われる訪問介護の介護報酬については、サービスに要する平均的な費用(労働時間に対して支払われる賃金等の人件費も含まれる)の額を勘案して包括的に単位設定しているものである。いずれにしても、上記1のとおり、事業主は、移動時間や待機時間も含め、労働時間に対して適正に賃金を支払う必要があること。

別紙 【基老連名課長通知】訪問介護労働者の移動時間及び待機時間の取扱いについて(
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