「ホームヘルプの質を高める研修会」を開催しました

 

 1210日(月)~11日(火)に、全社協会議室にて「ホームヘルプの質を高める研修会」を開催しました。

 

 冒頭の行政説明では、厚生労働省老健局振興課の宮本和也基準第一係長から、平成30年度介護報酬改定の概要や、平成3110月より実施予定の介護職員のさらなる処遇改善加算等に関する説明がありました。

 

 講義・グループ討議では「介護現場におけるハラスメントを考える」をテーマに、ホームヘルパー(以下、ヘルパー)をハラスメントから守り、安心して働くことのできる環境を整えることでホームヘルプサービスの質の向上や人材の定着につなげる視点を学びました。

 

 講師の八杖友一氏(東京八丁堀法律事務所・弁護士)の講義では、利用者とのサービス利用契約時に、ハラスメントが発生した際の対応を説明して契約の条項に盛り込んでおくことや、ケアマネジャーや地域包括支援センターと連携した対応についてあらかじめ相談しておくこと、また、日々のことを記録に確実に残すこと等がハラスメントの防止や発生時の対応に効果的であるとの話がありました。また、悪質なハラスメントについては、弁護士や保険者である行政に相談することも必要であるとの助言もありました。

 

 実践報告者の田中ゆかり氏(大垣市社会福祉協議会)からは、利用者に対して適切な支援を提供することや、ヘルパーの地位向上のために、管理者やサービス提供責任者(以下、サ責)がヘルパーの報告に耳を傾け、ハラスメントに対して毅然とした対応を心がけることが必要であるとの報告がありました。

 

 2日目は、管理者やサ責だけではなく、1人ひとりのヘルパーが利用者の自立支援・重度化予防をより意識的に実施することを目的に、「自立支援・重度化予防のための訪問介護計画」をテーマにした実践報告・グループ討議を実施しました。

 

 実践報告者の松村順子氏(亀岡市社会福祉協議会)からは、利用者に寄りそった訪問介護計画を作成するためには、ヘルパーの声を反映させることが必要であり、サ責にはヘルパーの声を聞き取る力が求められるとの話がありました。

 

 また、同じく実践報告者の永田英一氏(アイユウの苑ホームヘルプサービス)からは、ヘルパーの声を聞き取るために「リスクマネジメント報告書」を活用しているとの報告がありました。報告書には、ファインド報告書(事故が起こる前、起こりそうになる前に改善提案を行う場合に記入するもの)、ヒヤリはっと報告書(事故が起こりそうになった、事故が起こった場合に記入するもの)、苦情報告書(苦情やそれに近い要望を受けた場合に記入するもの)の3種類があり、ヘルパーと管理者・サ責が一緒に要因分析や改善策を考える体制となっています。

 

 さらに、講師の白井孝子氏(東京福祉専門学校・副学校長)からは、訪問介護計画にある支援の重要性をヘルパーに伝えるとともに、ヘルパーが納得できない場合には、なぜ納得できないのかを一緒に考えながら自立支援・重度化防止の理解を深めることが必要であるとのまとめがありました。

 本研修会は、介護保険制度の動向やサービス提供の現場の実態も踏まえながら、サービスの質の向上に資することを目的として毎年開催するものです。本年度は、2日間のプログラムのなかで、管理者・サービス提供責任者とヘルパーが一緒に利用者支援について考えることが重要であることを改めて確認することができました。参加者からは、他の事業所の取り組みを早速取り入れたいとの声が挙がり、在宅生活を支える要であるヘルパーの専門性をより発揮するための学びを得る機会となりました。